お気軽天体写真入門

目次
第1章 星の動きを写そう 一眼レフカメラを使った、簡単な固定撮影法です。
第2章 星を追いかける 前編 星は、約一日で全天を一周します。その星を追いかける為に、カメラ三脚に取り付け可能な簡易赤道儀を作成します。
第3章 星を追いかける 後編 近日公開 第2章で作成した簡易赤道儀で、実際に星を撮影します。

第1章 星の動きを写そう

夜空を見上げた時、毎日同じ星座が同じ場所に居座っていたら!さぞかし、退屈な夜空になってしまいますよね。でも、ご存知の通り、星は同じ位置にはいませんね。これは、我々の地球が自転(回転)しているので、同じ方向にある天体が見かけ上動いているように見えるからです。
今回は、星の動きを通じて、地球の自転を感じてください。
用意する物 ☆カメラ(レンズは、標準レンズ35mm・50mm等でOK)
☆レリーズ
☆三脚
☆フィルム(今回は、ISO800を用意しましょう)
☆懐中電灯(赤フィルムを貼っておくのがベスト)
あったら便利な物 ☆方位磁石
☆星座早見盤
撮影場所 なるべく暗い所(街燈の少ない所)で。また、一人では危険ですので必ず複数人で行動しましょう。
撮影時刻 暗くなれば何時でもOK。但し、お気に入りの星座がある場合は、星座早見盤で時刻を確認しておきましょう。
注意1 カメラはバルブモード(シャッターを開放する状態)を使用するのでバルブ撮影が出来るタイプを用意して下さい。
注意2 フィルムには、色々な感度タイプがあります。(ISO100・400・800等)数字が大きいほど、短い時間で星を写すことが出来ますが、その分粒子の粗いザラザラした写真になります。
注意3 レリーズとは、カメラにオプションで付けるパーツで、カメラ本体に触らずにシャッターを切る事が出来る物です。
注意4 冬は、とても寒いので防寒対策を忘れずに。腰にカイロを貼ると効果大ですね。


撮影手順 モデル:田中 宏氏
場所を決める 撮影したい、対象がある方向が開けていて、尚且つ平らな場所を選ぶ。
三脚を据える 足をしっかりと広げる。
カメラをセット 三脚にカメラを据える。
カメラの調整 AFカメラの場合はマニュアルに設定し、絞りは開(数字の小さい方)又はいち絞り絞る。シャッタースピードはB(バルブ)にする。ピントは無限遠にする。
目標を補足 目標天体がある方向にカメラを向ける。
シャッターを押す 撮影開始!
シャッターを切る 撮影終了!
注意1 カメラによっては、バルブの変わりにT(タイム)がある機種がある。タイムはシャッターを押した後、次のフィルムの巻き上げ動作を行うまで露光を続ける機能です。
注意2
 始めは5分・10分・15分等、色々な時間で撮影してみて下さい。また、絞りも開放といち絞り絞った場合とで撮り比べてみて下さい。
注意3 撮影中は、懐中電灯はOFF。もし、明るい光がレンズに入ったら、シャッターを切ってもう一度チャレンジして下さい。
注意4 ズームレンズは、ズーム位置によってピントが変わります。もし、お手持ちのカメラがズームレンズの場合は、ピントに注意して下さい。
注意5 出来るだけ、フィルムには、天体写真以外を撮り混ぜるのはやめましょう。
注意6 現像は、親切に話を聞いてくれる写真屋さんを選びましょう。そして、現像に出す時に一言、「天体写真です」と言って下さい。
皆さん。どんな写真が写りました?星の軌跡が写ったでしょうか?その星の軌跡が地球の自転を表しているのです。無事、撮影に成功したあなた。今日からあなたも天体写真家の仲間入りです。失敗しちゃった人は、何故失敗したのかを考えてもう一度チャレンジして下さい。
サンプルカット

第2章 星を追いかける 前編

注意! 本章で作成する簡易赤道儀ですが、作成中の怪我に注意して下さい。電動工具等を使用しますので、未成年の方は、大人(20歳以上)同伴で作成して下さい。また、使用されますカメラの重量等により、作成した簡易赤道儀が破損し、カメラが落下する事も想定されます。作成、使用は自己責任でお願い致します。また、今回作成の簡易赤道儀は、部材や作成精度等の問題から、必ずしも、星が綺麗に点像に写る事を保証するものではありません。そして、何より本稿発表時点では、あくまで机上論で有り、実際にテスト出来ていない点が多々あります事をご了承願います。
前章。星の動きを写す。如何でしたか?カメラを固定して、星空を写すと、星が線に写る事を実感出来ましたでしょうか?さて、今回第2章では、星を追いかけると銘打ち、まず、この線に写る星を追いかける仕組みを考え、実際に簡易赤道儀を作成しましょう。そして、第3章では、作成した簡易赤道儀を使用して星を点像に写してみましょう。
では実際に作成するに際し、どんな予備知識がいるのでしょうか?整理してみましょう。
星の動きを知る 星は、地球の北半球では北極星と言われる星を軸に、一日に約1周します。
時間を軸に動く角度を知る 1日 約1周。360°ですね。
1時間 1日は24時間なので、360÷24=15°ですね。
20分 1時間15°なので、15÷3=5°ですね。
角度を軸に動く時間を知る 360° 約24時間ですね。
15° 1時間ですね。
° 60分で15°なので、60÷3=20分
1° 20分で5°なので、20÷5=4分
何秒まで大丈夫? 35mm 35mmレンズでは、12〜20秒位は固定撮影出来ます。
50mm 50mmレンズでは、8〜14秒位は固定撮影出来ます。
この位の情報があれば、大丈夫でしょうか?では、仕組みを考えましょう。上の表の5°が20分をキーワードに設計してみましょう。星は、角度を軸に考えると、20分間に5°回転します。だから、20分間で5°回転する装置を作れば、理論上星を追いかける事が出来ますね。

1.横線を引く。
2.分度器で5度を測り、もう一本引く。
3.二本の線の間隔が1cmになる場所を探す。  図面0 ココをクリック

図面0で確認して下さい。半径約11.5cmで回転する装置を考案すれば、理論上星を追いかける事が出来そうです。

では、上記点を留意して、実際に作成してみましょう。

図面1 木材の切り出しです。木の厚みは15mmを想定しています。その他必要な物も記載されています。チェックして下さい。

図面2 図面3 図面4 図面5 作成図面です。

図面2のCと図面3のDで、25mm+115mm=140mmの位置に穴をあける所があります。ここにボルトが入り、回転軸の中心になります。図面5のJでピッチ1mmのネジを受ける、ガビョウ。ここまでの距離が約115mm。この構造で10秒毎に1/12回転、ネジを回転させると、部品2は20分間で5°回転します。

115mmとピッチ1mmのネジ以外は、構造上自由が利きます。まだ実際に作成していませんが、構造的に一番問題がありそうな場所をあえて上げるとすれば、部品1に1/4インチツメツキナットを打ち込んだ所でしょうか…。このネジにカメラ三脚のネジをネジ込む訳ですが、カメラが重いと、ツメツキナットが外れる事が想定されます。タップをお持ちの場合、大き目のステンレス板に1/4インチのタップを切り、4コーナーにバカ穴を空け、簡易赤道儀に固定する方が、強度は増すと思われます。その他、ピッチ1mmのネジを10秒で1/12回転させる所ですが、これも机上論ですが、仮にピッチ0.5mmのネジがあれば、10秒で1/6回転。六角のボルトなら、6つの角をメモリに使用出来そうですね。あくまで仮定ですが…。